ゲノム情報


ゲノム解析はすでに、新しい情報科学との融合なしには処理できない状況に達してい ます。特に構造解析で大量のDNA断片を整理・記載する情報とマッピングに関する情 報の蓄積はすさまじいものです。同様な事情は大量のDNA文字配列を取り扱うcDNA 解 析やモデル生物ゲノムの解析にも起きています。さらに、これらの情報を駆使して、 ゲノムの担う情報の解読を進めるには、本格的な生物情報科学の誕生がないとどうに もなりません。

さらに将来に目を向ければ、生命研究は生物情報科学の発達と共に「もの」よりも「 情報」を扱う分野に大きく発展し、全体としてどんどん変貌することが予期されます 。この事態に対応するために、文部省では本研究班と共役させて重点研究「ゲノム解 析に伴う大量知識情報処理の研究(代表 金久 實 京大教授)」を発足させています 。金久重点研究は、我国におけるこうした目的に沿った唯一の研究活動であり、これ まで生命研究の経験がなかった情報科学者と、情報科学に縁遠かった生命科学者の融 合の役割をはたしつつあります。それと共に、ゲノム研究者の国内・外におけるデー タ交換や交流、データベースとの交信などに不可欠なネットワークの発達にも重要な 役割を演じています。