高解像度FISH法の開発

京都府立医科大学・医学部・衛生学教室

稲澤譲治、阿部達生

目標

 FISH法により、高精度、高密度の細胞遺伝学的地図(cytogenetic map)を短時間で作成 することができます。これにともない、染色体上で近距離にあるDNAクロ−ンの配列や距 離の測定が行える第二世代FISH法の開発も要求されています。

 われわれは、

ことを目標に、高解像度FISH法の開発に取り組んでいます。

 ゲノムプロジェクトの推進により多くのDNAマ−カ−が単離され、これを用いて遺伝病 やがんに関わる遺伝子の染色体上での場所が明らかにされてきています。高解像度FISH法は、これら病気に関連した遺伝子そのものを突き止めるための強力なツ−ルとして、その開発が期待されています。

成果

(1)FISH法により、

この地図は世界的にも精度の高いヒト17番染色体地図として評価され、乳癌抑制遺伝子やその他の17番染色体に関わる遺伝性疾患の原因遺伝子単離を進めている内外の研究者に貴重な情報を提供しています。

(2)高解像度FISH法の開発

 今後これらの成果を基盤に、高解像度FISH法によるゲノム解析を推進するとともに、そのシステムの自動化を計画しています。

図の説明

マルチカラーFISH法による近接クローンの配列決定。ヒト11番染色体長腕q23領域にあ る2このコスミドクローンを二色のシグナルで検出することにより、ゲノム上での配列順序を決定することができる。


参考文献

稲澤譲治、他:蛍光in situハイブリダイゼ−ション法とその応用・(1992)検査と技術、120, 815-822

稲澤譲治、他:多色蛍光in situハイブリダイゼ−ション法によるコスミドクロ−ンのオ −ダリング・(1993)組織培養, 19,13-17