核酸とタンパク質(まとめ)

 遺伝情報の伝達と発現に関与する核酸(DNA、RNA)とタンパク質は、いずれもある構成単位が一次元的に繰り返しつながった鎖状の高分子です。核酸は4種類のヌクレオチド(nucleotide)が、タンパク質は20種類のアミノ酸(amino acid)がその構成単位で、ヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドであるかリボヌクレオチドであるかにより、DNAとRNAの違いが生じます。これら構成単位の化学構造には共通の部分と独自の部分があり、共通の部分がつながって一次元的な鎖ができます。これを、主鎖(main chain)またはバックボーン(backbone)といい、核酸の場合は糖とりん酸がホスホジエステル結合により、タンパク質の場合は窒素と2つの炭素がペプチド結合により、くり返し並んでできています。ペプチド結合により水分子1個分がとれた形のアミノ酸をアミノ酸残基(amino acid residue)とよびます。一方、構成単位の独自の部分を側鎖(side chain)といい、核酸では4種類の塩基、タンパク質では20種類のアミノ酸の側鎖があります。水素結合を作ってDNA二重らせんを安定化させたり、疎水性アミノ酸残基が集まって球状タンパク質のコアを形成したり、側鎖は立体構造形成や他分子との相互作用で重要な役割を果たしています。

核酸とタンパク質
分子役割構成単位長さ
核酸DNAゲノムデオキシリボヌクレオチド
(A, C, G, T)
数千〜数億
RNAゲノム
メッセンジャー
機能性分子
リボヌクレオチド
(A, C, G, U)
数千〜数十万
数千〜数万
数百〜数千
タンパク質機能性分子アミノ酸
(A, C, D, E, F, G, H, I, K, L,
M, N, P, Q, R, S, T, V, W, Y)
数百〜数千


参考資料