Date |
May 20, 2008 |
Speaker |
Dr. 堀本 勝久(産業技術総合研究所・生命情報工学研究センター) |
Title |
記号計算による生体ネットワーク動態解析 |
Abstract |
生命現象の特徴の一つとして、構成要素間の相互作用が極めて重要な
役目を果たしている事が挙げられる。例えば、生命現象の素過程の一
つである細胞内タンパク質の化学反応は、そのほとんどがタンパク質
分子間相互作用に起因している。このことから、生命現象の総体的な
理解にはシステム論的な相互作用の理解が必要であり、数理的にはネ
ットワーク解析が要求される。ただし、相互作用を担う構成要素につ
いて実験計測が困難な場合がしばしば起こり、この場合は計測データ
のないネットワーク要素(隠れ変数)を含むネットワークの解析が必
要とされる。最近我々は、微分方程式系をラプラス変換して代数方程
式系に変形する従来法に着目し、隠れ変数を含むネットワークの動態
解析法を開発している。記号計算を駆使することで代数方程式系にお
いて隠れ変数を消去し、計測可能な変数のみから成る方程式系を導出
すると同時に、計測データについて代数方程式系の近似式を推定し、
最終的に2つの代数方程式系を比較することでネットワーク動態を解
析する。具体的な解析例として、コンパートメントモデルに基づくPET
計測によるドーパミン代謝とTransfected cell arrayによるTRAIL誘
導MAPKパスウェイモデルについての解析結果を紹介する。 |
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