ヒトゲノム解析センター


ヒトゲノム解析センター設置の経緯

 ゲノム解析研究は、多数の研究グループの共同プロジェクトとして行われます。各グ ループは目的に応じて様々な研究、資材や技術を開発して研究を進めますが、それら の中には各グループに共通性の高い標準的なものが多数あります。また一つのグルー プでは開発が困難なものも少なくありません。一方、各グループはゲノムについての 大量の実験データを生み出しますが、その情報をグループ相互に利用しあうことがプ ロジェクトの推進には不可欠です。

 このようにゲノム解析研究の進展に有用、不可欠な研究資材、技術、情報を蓄積し 、プロジェクト全体で活用するための組織の必要性が、我国におけるヒトゲノム解析 推進に関する調査研究(平成2年度)によって提案されました。この提案を受け、平成 3年度に新プログラム「ヒトゲノム解析研究」の一環として「ヒトゲノム解析センタ ー」が東京大学医科学研究所に設置されました。

 ヒトゲノム解析センターは当初の5年間に3分野(部門)を年次計画で設置整備す ることが認められ、平成3年度に「データベース分野」、平成4年度に「ゲノム構造 解析分野」、平成5年度に「DNA情報解析分野」が開設され組織、設備などの整備 が進められています。「データベース分野」「DNA情報解析分野」は、新プログラム と共に重点領域研究「ゲノム解析に伴う大量知識情報処理の研究」とも連携をとりな がら整備されており、平成5年2月より稼働した計算機システムによる最新のデータ ベースサービスと計算サービスを行うと共に、ゲノム研究の現場と密接に関連したデ ータベースシステムやソフトウェアシステムの開発を行い、その利用講習会などを行 っています。「ゲノム構造解析分野」では、ヒト最小の21番染色体の全構造の解析 を目指す研究を進めると共にヒトゲノム解析に有用なマーカーDNA、有用ライブラリ ーの開発及び収集を行い、研究者への供給体制を整備しつつあります。また、大量DN A塩基配列を決定するためのシステムを確立し、ゲノム研究者の利用に供するよう準 備中です。