ヒトX染色体(Xq24−28)の物理地図の作成

新潟大学脳研究所

辻 省次

目標

 ヒトX染色体長腕には,副腎白質ジストロフィー (Adrenoleukodystrophy) ,Emery − Dreifuss 筋ジストロフィー,X − linked spastic paraplegia ,X − linked mental retardation ,X − linked hydrocephalus などのさまざまな疾患の遺伝子座がマップさ れています。本研究では,これらの疾患の原因遺伝子の解明を目指し,

ことが行われます。

 また,この研究で単離された数多くのゲノムDNA,発現遺伝子クローン,開発された基 盤技術,情報などは広く生命科学の研究者に有用なものとなります。

成果

 ヒトX染色体長腕から単離した,Not I 認識部位を有する400個のクローンについてX染 色体長腕上の詳細な位置を決定(図)すると共に,X染色体長腕全体を酵母人工染色体に クローン化し,詳細な物理地図を作製する計画が進行中です。また,ヒトX染色体の一部 のみを有する雑種細胞から,現在までに新たな遺伝子を11個単離しています。

図の解説

ヒトX染色体長腕から Not I 認識部位を有するコスミドクローンを400個単離し,Xq24-25領域に11グループ,Xq26-27領域に6グループ,Xq28領域に19グループを同定した。


参考文献

小野寺理他 : 副腎白質ジストロフィーのポジショナルクローニングへのアプローチ (1992) 細胞工学 11 : 739-744

小野寺理他 : X染色体の解析と伴性神経疾患遺伝子 (1993) 蛋白質核酸酵素増刊 「ゲノ ム解析研究」38 : 354-360

金子清俊他 : コスミド contig の作製と遺伝子の探索 (1993) Molecular Medicine 30 : 194-200