
図1 複合体形成に必要なHR2由来SR9配列とその誘導体

図2 SR9とSR9EK1の阻害機構について |
そこで、SARS-CoVが標的細胞に感染する際に用いるタンパク質複合体(HR1-HR2 complex)を焦点に、この複合体形成阻害剤が抗ウイルス剤に結びつくと考えた(図1)。具体的には本年度は次の事項:
1. SARS-CoVゲノム情報からの感染成立に必要なタンパク質複合体配列の類推;
2. ペプチド合成を利用した複合体形成必要配列の絞込み;
3. 絞り込まれた天然配列(SR9)の抗SARS-CoV活性評価と誘導体化;
4. 合成ペプチドを利用したタンパク質複合体形成の物理化学的検討;
5. 高活性抗SARS-CoVペプチド(SR9EK1)の創製;
6. 感染成立におけるタンパク質複合体機能の類推(図2)等について検討を加えた。その結果、現在知られている化合物群の中では最強の抗SARS-CoV活性を示すペプチド性化合物(SR9EK1)を見出した。さらに、SARS-CoV感染のタンパク質レベルでの分子機構について若干の知見を得るに到った。
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