分裂酵母のゲノム解析

京都大学・理学部

柳田 充弘

目標

 この研究においては、ヒトゲノムを直接の研究対象とはしない。分裂酵母は下等ではあるが、細胞生物学や遺伝学の研究が非常によく進んでいる生物である。分裂酵母の全遺伝情報を解読することにより、ヒトの遺伝情報の中でも何が最も基本的な情報かを知る手掛かりを得ることができる。この目標に向け、

 このような研究をより効率的に行うために、国際的な協力体制のもとで研究を進めています。

                               

成果

 現在までに我々の研究グループは、上記目標の最初の3つについては予定通りほぼ達成し、さらに図に示した染色体領域のDNA塩基配列の決定を開始しました。

図の解説

 分裂酵母第2番染色体の中央部分に由来するコスミド群(コンティグ)。146のコスミド クローンからなり、約85万塩基対の長さの染色体部分をカバーしている。縦の破線は個々のコスミドが含む領域を示す。大部分の破線は1個のコスミドクローンに対応す るが、中には数個のコスミドを含むものもある。縦に並べて書かれている2〜4ケタの数字等は、各コスミドの重なり具合を調べた際に基準として用いたコスミドの番号や遺伝子DNAである。コンティグの中央部分は省略されている。


参考文献

水上透ら:分裂酵母ゲノムの解析・(1993)蛋白質核酸酵素増刊「ゲノム解析研究」38, 677ー684

Maier et al:Complete coverage of Schizosaccharomyces pombe genome in yeast artificial chromosomes.(1992) Nature genetics, 1, 273-277