セルソーターによる染色体の分別とライブラリーの作製

国立遺伝学研究所 総合研究大学院大学

藤山秋佐夫

目標

 この研究では,自然が用意してくれたゲノムの断片ともいえるヒトの各々の染色体を研究対象としており,

 このような技術は,ゲノム研究のためだけではなく,細胞工学や染色体工学といった新しい研究分野の重要な基盤技術の一つであり,常に共同利用可能な状態を維持し,関連研究者の便宜を図ることも重要な目的の一つです。

成果

 デュアルレーザーセルソーターという装置を用いることにより,図に示したように効率よくヒトの染色体を分離,純化することができます。現在,我々のグループでは

 今後は,他の染色体についても大量調製作業を進め,ヒトゲノム全体をカバーする DNA ライブラリーを作成する予定です。

図の解説

デュアルレーザーセルソーターで分離したヒトの染色体。左図(A)では,1から22番の常染色体全体と性染色体(X, Y)が分離されている。右図(B)の例では機械のセッティングが 変えられており,比較的小型の染色体(8−22,Y)領域が分離されており,より高精度に目的の染色体を単離することができる。


参考文献

藤山秋佐夫 : ヒト遺伝子の探求(研究の現状 総論)(1992) 数理科学,30 : 75-79

藤山秋佐夫 : ワークショップ 「日本におけるヒトゲノム研究」(1993) 蛋白質核酸酵素 38 : 83-85

藤山秋佐夫 : デュアルレーザー染色体ソーティングとその利用 (1993) 蛋白質核酸酵素 38 : 586-590