ヒトゲノム内多型配列の大量収集と,これを用いた連鎖解析

九州大学遺伝情報実験施設

林 健志

目標

 ヒトは遺伝的に雑多な動物種なので,個人間での DNA 配列に違い(DNA 多型)が多数 存在します。DNA多型はメンデルの法則に従って遺伝するので,多型の間の遺伝的連鎖を調べると,ヒトゲノムの連鎖地図を作成することができます。

 この研究では,

ことを目標としています。

 詳細な連鎖地図があれば,遺伝病と密接に連鎖して遺伝する多型DNA マーカーを用い て病因遺伝子を含む DNA クローンを容易に単離することができます。

成果

 下の図は,我々が収拾した多型DNA マーカーの一つによって検出される DNA 配列の個人差が,2つの家系でどの様に遺伝されるかを示したものです。実際の連鎖解析では,ま ず約40個の多型 DNA マーカーを用いて,約15人から成る3代の家族,8家系を調べ,各個 人の遺伝型を決定します。次にその結果をコンピュータで解析し,連鎖地図を作成します。

図の解説

上部に示す家系の各構成員の DNA から PCR 法によって多型 DNA を増幅し,ゲル電気泳 動分析でその多型を検出した。下部に示してあるのはそれぞれの遺伝子型である。


参考文献

林 健志,他 : 多型反復配列の分離とその解析 (1993) 蛋白質核酸酵素増刊 「ゲノム解析研究」38.581-585