国際協調

 ヒトゲノムプロジェクトは国際協調のもとに進められています。その中心となるのが国際的な機関 HUGO (Human Genome Organization) です。この組織は1988年に設立され、アメリカ、ヨーロッパ、アジア太平洋の3つのオフィスを持ち、国際ゲノム会議の他、生命倫理委員会などいくつもの委員会や研究会、共同のデータベースを作り活動しています。研究者たちはまた、各テーマごとに集まり情報交換や共同研究を進めています。例えば21番染色体の研究をしている人々は年に1回の定期会合で情報交換をする他に、この染色体のシークエンス決定などのために共同組織を作り、インターネットを通して相互に密な連絡をとりながら、共同のホームページを開設して、データの公開を行っています。
 ヒトゲノムプロジェクトでは政府間で文書を交わして役割や分担を取り決めることは行われていませんが、研究者が相互によく知り合い、絶えず連絡を取りあい信頼関係を築くことによって、国際的に協調的に進められています。しかし同時にゲノム解析の技術、方法論、インフラストラクチャーが、各国の21世紀のバイオサイエンスやバイオインダストリーの発展を大きく左右するものであるために、各国とも協調しつつも国際競争の上で少しでも優位に立とうとしていることも事実です。

21世紀のキーワード「ゲノムサイエンス」を知っていますか?

 発行:文部省科学研究費補助金重点領域研究「ゲノムサイエンス」代表者 榊 佳之(東京大学)
 企画・編集:美宅成樹(東京農工大学工学部生命工学科)/企画・制作:ジャパングラファーズ
 HTML版制作:中谷トシ(京都大学化学研究所)


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 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター
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