金子研究室ではイオンチャネル・トランスポータといった膜輸送タンパク質を対象にした分子薬理学的研究に
おいてゲノム科学やバイオインフォマティクスを情報基盤として活用している。また、ライフサイエンス辞書を構築し、公開サーバの運営を
行っている。
ゲノム情報が物語る膜輸送タンパク質のポテンシャル
膜輸送タンパク質は、酵素、受容体と並んで、薬物の作用点となりうる機能生体分子である。しかし現実には、膜輸送タンパク質はあまり重要な
創薬標的として認識されていない。これには2つの大きな理由がある。一つは、酵素や受容体には内在性リガンドが存在し、それらをシードとした
誘導体や阻害薬の設計が可能であるのに対して、膜輸送タンパク質の多くには天然の高親和性リガンドが存在しないためである。もうひとつは、
酵素や受容体では基質の化学変化や結合といった無細胞系での高感度な指標によってリガンドの生物活性を予測できるのに対し、膜輸送タンパク質は
物質の膜輸送という,生きた細胞でなければ測定できない煩雑な実験がスクリーニングを敬遠させている。
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