バイオテクノロジーの進歩に裏付けされて発足したヒト・ゲノム解析計画は、さらに新たな技術革新をもたらし、加速度的に大量の配列データを産み出しています。それに伴い分子・細胞レベルでの生命現象に関する基礎データから、病気の診断・治療への可能性を示す応用データまで、様々な生物的なデータが急速に蓄積されつつあります。生物学はかつて直面したことのない大量情報の時代に入ったのです。
1991年度より開始された文部省ヒト・ゲノムプログラムの下で、京都大学化学研究所と東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センターは、生物学の新展開に対応するためには情報インフラストラクチャーの整備が不可欠であるとの認識から、ゲノムネット(GenomeNet)と名づけたコンピュータネットワークの構築を行ってきました。 ゲノムネットは当初は東大国際理学ネットワーク(TISN)の一部として運用され、わが国のインターネット環境作りにも貢献しました。
しかし、ゲノムネットは単なるコンピュータネットワークではありません。京都大学化学研究所が開発し提供しているゲノムネットのデータベースサービスは、世界中に存在する生物学・医学関連の多様な知識、情報、データを、各研究者のデスクトップで統合して利用できる環境を目指した情報サービス網なのです。
1991年9月20日 | 東京−京都間が 64KBPS で開通 |
1992年9月1日 | 電子メールサーバー等のゲノムネットサービス開始(京大化研) |
1992年9月30日 | 東京−京都間が 192KBPS にアップグレード、京都−福岡間が 192KBPS で開通 |
1993年9月1日 | 東京−京都間が 512KBPS にアップグレード |
1994年4月1日 | ヒトゲノム解析センター開発のシステム公開 |
1994年5月1日 | 京都−福岡間が 512KBPS にアップグレード |
1994年6月10日 | 東大医科研−京大化研間に 155MBPS の NTT 実験線が開通 |
1994年7月1日 | ゲノムネット WWW サーバー開始(京大化研) |
1996年4月1日 | 京都−福岡間が 768KBPS にアップグレード |
1996年5月17日 | 海外線を TISN から IMnet へ移行 |
1996年5月29日 | 東大医科研−京大化研間の NTT 実験線が STM から ATM へ移行 |
1997年3月31日 | NTT との共同研究終了 |
1997年5月13日 | 東京−京都間が 6MBPS の ATM 商用線へ移行 |